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救急隊からの一口メモ

A.骨折に対する応急手当

骨折の部位を確認するため、どこが痛いか、痛がっているところはないかを聞き、出血がないかを見る。 次の症状があれば骨折と判断する。骨折の症状とは、激しい痛み・腫れ・変形・骨が飛び出している。

point 確認する場合は、痛がっているところを動かしてはならない。
骨折の疑いがあるときは、骨折しているものとして、手当をする。
適切な応急手当は痛みをやわらげ、症状の悪化防止に大変役立ちます。

今回は身近なものを使った応急手当について紹介します。

雑誌などを使う場合

  1. 雑誌で骨折した箇所を挟み込み、固定します。
  2. 三角巾(ハンカチ、タオル、フロシキ等でも可)で首からつり、
    さらに体に固定します。
  3. 雑誌を使って固定する場合は、B5サイズ以上の物を使います。
(雑誌を使用した例)
前腕部の固定
前腕部の固定
三角巾などで腕をつる
三角巾などで腕をつる

ダンボールを使う場合

  1. 固定する部分より、長い幅の広いものを使います。
  2. 強度が弱いときは、重ねて使いましょう。
  3. 骨折したところの両側からダンボールを当てる。
  4. 上下の関節が動かないように図の(1)から(4)の順序
    で三角巾等を利用し固定していきます。
(ダンボールを使用した例)
ダンボールを利用した下肢の固定1
固定1
ダンボールを利用した下肢の固定2
固定2

B.溺水に対する応急手当

年齢層によって異なりますが、乳幼児期では、家庭の浴槽での溺水例が多く、まれですが、洗濯機や水洗トイレの溺水もあります。学童期では、プールや河川、海での溺水が多く、自己の泳力に対する過信、遊びに夢中になっての安全無視が原因です。青壮年期になると、アルコールを摂取しての水泳や、水泳中に脳血管疾患や心疾患を発症したりします。

溺れている人を発見したら

  1. 確実にものにつかまって、手や足を差し延べたり、棒、タオルなどにつかまらせます。 岸から離れている場合は、浮き輪やロープ、板などを投げ入れ、船から救助します。
  2. 泳いで溺れている人のところに向かうのは、最後の手段です。しがみつかれて救助者も溺れて しまうことがあるので、周囲の人に協力を求めます。
  3. 首を損傷しているときは、患部を動かさないように板にのせ、そのまま引き上げます。 (頭にけががある場合、プールなどに飛び込んだ場合)
飛び込みによる頸のけが
飛び込みによる頸のけが

意識があるとき

  • 安静に寝かせ、吐き気がするときは顔を横に向けて吐かせます。
  • 毛布や全身マッサージ、温かい飲み物などでからだを温めます。

意識がないとき

  • 心肺蘇生法の手順に従い行います。
吐き気がするとき
吐き気がするとき

注意点

意識がもうろうとしているときは、気管に入る危険があるので飲み物は禁物。 無理に腹部を圧迫して水を吐かせる必要はありません。

C.中毒に対する応急手当

化学物質が体内に吸収され、その物質や代謝産物によって生体の機能に障害を生じたときに中毒と称します。わが国での医療機関を受診する中毒患者は、年間20万人から数十万人発生しています。この大多数は乳幼児がタバコ・化粧品・洗剤などをいたずらして誤飲したもので、大量に飲むことはなく比較的軽症例が多いようです。

今回は、家庭用品による中毒の応急手当について紹介します。

タバコを飲んでしまった・・・

  • 口をすすがせる。
  • 摂取量を推定しておく。
  • タバコの浸出液を飲用しなければ重篤なニコチン中毒にはいたらない。

乾燥剤を飲んでしまった・・・

  • 牛乳を飲ませる。
  • 乾燥剤の種類を特定する。

ボタン電池・・・

  • ほとんど消化管を48時間以内で通過し、7日以内に排出される。
  • 消化管内に停留したり、損傷・崩壊したときには化学熱傷を引き起こすこともあります。

酸性、アルカリ性の洗剤など・・・

  • いきなり吐かせてはいけない。
  • 牛乳を飲ませる。
  • ひざにのせてみぞおちをおさえ、舌のつけ根を刺激する。
    誤飲、誤食物の吐かせ方

注意点

  • 食道の粘膜を痛める恐れや気管に逆流してしまう恐れがあるため、いきなり吐かせてはいけない。
  • 胃壁の保護と毒物の中和目的のため、牛乳を飲ませる。
    ただし、防虫剤や石油製品(灯油、ガソリン、シンナー、ベンジン等)は、毒物の身体への吸収量を多くしてしまうため、牛乳を飲ませてはいけない。
  • 吐かせるとき、気管に逆流しないよう十分注意する。

こんなときは中毒110番へ

処置がわからないとき、睡眠薬以外の薬剤を飲んだときは、中毒情報センターへ問い合わせてください。

つくば0990-52-9899(有料)9時から17時
大 阪0990-50-2499(有料)24時間無休

D.けいれん(ひきつけ)に対する応急手当

筋肉が発作的に収縮を起こした状態をけいれんといいます。 一定時間、持続する強直性けいれんと、短時間ごとに繰り返される間代性けいれんに分けられます。 けいれんが起こったら、全身性か部分的か、どこから始まったか、眼球は自由に動いているか固定し ているか、呼吸・熱・意識はどうかなどを観察します。

今回は子供のひきつけの応急手当について紹介します。

ひきつけでいちばん多いのは、発熱にともなって起こる熱性けいれんで子供に多くみられます。
この熱性けいれんは、およそ1~2分で治まりますので、治まってから病院等で診察を受けてください。 熱性けいれんを起こしやすい子供は、あらかじめ解熱剤を処方してもらっておき、早めに服用させるとよいでしょう。

point
  • 大声で名前を呼んだり、体をゆすったりしない。
  • 静かに寝かせ、衣服をゆるめる。
  • 部屋を暗くする。
  • 熱が高いときは、頭、首、わきの下などを冷やす。
  • 吐くときは、頭を横向きにする。
熱が高い時の冷やし方
熱が高い時の冷やし方

以前は、この熱性けいれんにより、舌をかむことを恐れて、割り箸などを口にかませましたが、 今は無理にする必要はないとされています。

E.熱中症に対する応急手当

炎天下や高温多湿の環境下で、体温の調節機能などに失調をきたして起こす障害を総称して熱中症といいます。 そのうち、体温上昇をともなうのが、日射病と熱射病、体温上昇はともなわないが脱水や循環失調から起きるのが、 熱疲労(熱虚脱)と熱けいれんです。熱けいれんは筋肉に激しい痛みとけいれんが起こりますが、腹部の筋肉にのみ起こると、 急性腹症に似た症状を呈することがあります。

今回は、日射病・熱射病の応急手当について紹介します。

  • 日陰の涼しいところに寝かせ、衣服をゆるめる。
  • 頭や首まわりを冷たいタオルなどで冷やし、
    うちわなどで風を送る。
  • 意識があれば水などを飲ませる。できればスポーツ飲料などがよい。
  • 意識がうすれてきたら気道を確保。呼吸があれば回復体位で寝かせ、 呼吸が止まったら人工呼吸、心肺蘇生法を開始します。
  • 吐くときは、頭を横向きにする。日陰の涼しい所に寝かせる。
熱中症の処方
日陰の涼しい所に寝かせる

注意点

いったん気がついても、すぐまた眠るようなときは、眠らないように名前などを呼びかける。
回復しても、しばらくは安静にする。

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引用文献

応急手当講習テキスト 救急車がくる前に 救急振興財団 2001.12
応急手当指導者標準テキスト 東京法令出版 2002.3
バイスタンダーのための応急手当(財)東京救急協会 東京法令出版